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薬師 2009年11月3日更新

薬師

【和:
【中:
面白テーマ|彫刻・書画|>薬師

中央アジア、ハラホト
1227年以前
綿布着色
110×82cm
エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク
バイシャジュヤグル、すなわち薬師仏は、伝統的な図像にしたがって、金色の花飾りのある茶色の太い条葉によって様々の大きさの四角い区画に仕切られた明るい赤色の衣をまとった姿に描かれている。仏教徒にとって8種の吉祥の象徴である文様(八吉祥)と、全世界の中心に宇宙的な山である須弥山の上に建つ宮殿が、衣の四角い区画のなかに巧みな金色の線で描かれている。
 この仏画は39人の薬師の従者によって構成されている。中央の仏陀は8人の薬師如来のひとりであり、他の7人は通例の如く最上段に並んでいる。日光・月光両菩薩は主尊である薬師仏の左右に立っている。これらの日光・月光両菩薩が薬師如来の両脇に配された図像は、ハラホトではこの作品だけである。日光・月光は、その体の色に加えて、日輪(3本足の黒いオンドリのいる赤い円盤)と月輪(臼で不死の薬を作っているウサギのいる白い円盤)という中国の図に見られる伝統的な象徴を持っていることから見分けることができる。日光の頭上には、経典と思われる書籍を載せた卓と一対の払子が描かれ、月光の頭上には、三つの宝珠の入った塔が描かれるが、それらはともに蓮台に載り、幅広い平行線のように描かれた火焔光背を付けている。
 8人の菩薩がこの仏画の左右両端の縦の列に4人ずつ描かれている。その下、すなわちそれぞれの列の下から3番目には、黄色い糸で綴られた衣を着た僧が描かれている。彼らの下は、右側の列には三つの顔を持つ梵天、左側の列には帝釈天という2人の護法尊が描かれている。
 12人の夜叉、鬼神、王子ーあるいはおそらく神秘的な医術のリシ(仙人)、インドの修行者ーと四天王が下辺の2段の中央部に描かれている。王子(またはリシ)は最下辺の八つの区画と下から2段目の両側の二つずつの区画に描かれ、下から2段目の中央部の残りの区画には、四天王が描かれている。すなわち、弦楽器を抱えた白い持国天(東)、剣を執った青い増長天(南)、毒蛇を持った赤い広目天(西)、旗とマングースを手にした緑の多聞天(北)である。
 この仏画の両下隅にいる2人のラマ僧の描き方は特に興味深い。2人とも座具付きの台座に座り、光背を負っている。左側のラマ僧は、短い袖の付いた橙色の下着と、黄色い糸で縫い合わせた茶色の内衣、円文のついた黄色の外衣を着ている。この僧は、幅の狭い黄色い帯で縁取りされた黒い帽子を被っているが、これはカギュ派の分派であるカルマ派の法主、黒帽カルマの帽子である。ここに描かれているのは、おそらく初代の黒帽カルマ僧であるトゥースム・キェンパ(1110-1193)であろう。右側のラマ僧は長い袖の付いた茶色い下着と、白い内衣と、一色に塗られた円文の付いた、黄色い外衣を着ている。このラマ僧が誰であるかは、まだ分かっていない。どうやらカルマ派に関係があって、西夏で盛んだったインド・チベットの医術の伝統に関わる人物ではないかと想像できるだけである。
 このラマ僧の背後には、幅広い袖の付いた黒い服を着て、茶色の帯を締めた男が立っているが、服装から判断すると、おそらく彼はこの作品の寄進者であるタングート族の在家の人物であろう。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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