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ラマ(カルマ・ドゥツィ) 2009年10月21日更新

ラマ(カルマ・ドゥツィ)

【和:
【中:
面白テーマ|彫刻・書画|>ラマ(カルマ・ドゥツィ)

東チベット
16世紀後半
青銅鋳金;彩色
高28.5cm
ロサンゼルス・カウンティ美術館
像の台座背面に銘文があり「亡きラマ、リンポチエ・カルマ・ドゥツィの寝室用の肖像」とある。銘文を訳したH.リチャードソンは、このカルマ派のラマは16世紀に生きた人だと記している。銘文はラマが造像時には亡くなっており、だれか信者か弟子がラマをしのんで作らせたものと思われることを示しているという。
 明らかにこれはもっとも写実的な力のあるチベットの肖像彫刻のひとつである。形態の固さや神経質な表情について強調されているものの、西チベットのゴツァンパ像のような15、16世紀の他の肖像彫刻をみてみても、その様式はまったく異なっている。カルマ・ドゥツィの像は、堅い量感の肉体と重々しく自然な表現の衣についてそれぞれ考察することがある。衣は、うすく重ねてあるが、張りつめた表面とあつく重ねられた量感がある。身体を包んでいる衣は、足の上まで深く流れるように衣文を刻み、緊張感ある腕をつつみ、つよく張った肘は、像の中にある生命感や力といったものをあらわしている。像の構成や量感は劇的で、同じく衣の襞はしっかりと規則正しくラマの身体を形作って支えている。力強い容貌の四角い顔で、腕を出し右手は掌を下にむけ膝に当てる。かたく、重い量感と厚みをあらわしており、厚い衣の中からそれを暗示させる。
 この像は、東チベットにおいて衣文や肉体、個性といったものを表現する高度な自然主義的表現というものがこの時代に存在していたことを示す重要な作品である。衣文に見られる中国の自然主義の影響は、インドやネパールの伝統により影響された地域よりもここでは明らかにみられる。これは、17世紀末期までの肖像画の主要な様式であり、多く現存するダライラマ5世の肖像彫刻にみられる。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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