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ガムポパ 2009年10月17日更新

ガムポパ

【和:
【中:
面白テーマ|彫刻・書画|>ガムポパ

チベット中央部
18世紀
綿布着色
61×50.8cm
ツィンマーマン・ファミリー・コレクション
ガムポパ(1079-1153,タクポ・ラジエ=タクポの医師)は、ミラレパの第一の弟子であった。彼は、ミラレパの神秘的で瞑想的な教えと、彼が高度な仏教教育によって得た、カダム派の修行のカリキュラムとを統合し、カギュ派の主要な修行法の伝統を確立した。ガムポパは、多くの有名な弟子をもち、その中には最も主要なカギュ派の分派を確立した者もいた。この画幅は、背面の銘記からガムポパ像と同定され、12世紀にタクルンに本拠地をかまえたタクルン・カギュ派諸高僧図のうちの1点である。
 この肖像画では、ガムポパは額の広い頬のこけた老人の顔で描かれ、大きな体に赤と黄色の金の斑点文様のある衣をまとう。彼は、橙・桃・緑・濃青の蓮華座の上に乗る、背もたれの低い曲線の椅子に座る。小さなテーブルが彼の前で浮いているように描かれる。主尊を中央からずれた位置に配することで、彼の台座や背後の谷のある岩山が見えやすくなっている。小さな人物と仏塔が僧院のまえの平地に描かれている。僧院の本堂の屋根は金である。空想的な形で輪郭を金彩で描いた青い山の印象的な並びの前に、建物が鈴なりになっている。
 上方の天空には、水平にたなびく雲海があり、4人のラマが描かれる。それぞれ銘文によって名前がわかる。彼らは、興味深いことにカルマ派とカダム派のラマの組み合わせでこの2系列は、ガムポパと深い関わりを持つ。下左には、赤い帽子のシャル派と、黒い帽子のカルマ派でその横にいるのはおそらくタクルン派のラマであろう。
 空間の処理や空想的な岩山の大胆な表現は、17世紀というよりむしろ、18世紀のものとみられる。色調は、おさえられた素朴なもので、チベットの西や中央地域のものによくみられるものである。タクルン派寺院のある地域で描かれたものにきわめて似ている。このタンカは10点対であるが、ツィンマーマン・コレクションにあるもののほかに、フォード・コレクションに1点、またロサンゼルス・カウンティ美術館に1点ある。この一具は、地方様式の特徴をあらわす重要な優れた一作例といえる。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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