観音　2009年9月28日更新

チベット中央部
11世紀前期
青銅；銀・銅象嵌
高127cm
スピンク＆サン社
この非凡な素晴らしいブロンズ像は、チベットヘの仏教後伝期の初期の代表作である。損傷が何箇所かと､腹部と首に修復のあとがあり、右手が後補であるほかは､驚くほど保存状態がよい。はりつめた、それでいてしなやかで豪華な装身具、そして、衣の上に施された、葡萄唐草文様の中を動物と人物が跳ね回るモチーフの、魅力的で珍しい象嵌、どれも驚くべき水準である。様式的には、トゥッチによって紹介され､最近ではヴィターりによって11世紀前期に位置付けられるとされている、破壊されて今はない南ツァン地方のキャンプ寺の上層階にあるクンリク堂の彫刻群に近い。銅と銀の象嵌を豊富に用いた技法は、西チベット地方の作であることを示唆するが、パーラ朝の様式と強いつながりがあることからすれば、チベット中央部と関係があるようにも見うけられる。いずれにしても、これはチベットの仏教美術の早期の遺例として、重要な彫刻のひとつである。出所：天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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