考古用語辞典 A-Words

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ヒューストン美術館(アメリカ) 2009年8月12日更新

ヒューストン美術館(アメリカ)

【和:ヒューストンびじゅつかん
【英:The Museum of Fine Arts ,Houston
研究機関|>ヒューストン美術館(アメリカ)

 ヒューストン美術館は、一九二四年に開館してから何度か増築を重ね、一九七四年に近代的な建物の大きな美術館となった。そのコレクションもプレ・コロンビア美術、オリエント美術、古代の文献、アメリカの装飾美術、アメリカ現代美術、ヨーロッパ近代絵画と豊富である。その中から、ここでは、ヨーロッパ美術だけを取り上げることとする。
 近代的な玄関の扇形の建築が一九七四年に造られたブラウン・パビリオンである。地下一階、地上二階建てで、地下にはオリエント美術、プレ・コロンビアの展示室と事務所、講堂などがある。一階は玄関ロビー、ミュージアム・ショップ、図書室などであり、二階がヨーロッパ絵画の展示室となっている。
 階段をのぼると天井の高い広いスペースで、扇形の外壁が全面ガラスになっているのに驚いた。そのすべてに黒の網戸がつけられ、直射日光が絵画に当たらないように工夫されていた。この広いスベースをパネルのような壁で区切り、いくつもの展示室ができている。グレーの絨毯、グレーの壁で色を抑えてある。
 ギリシャ、エジプト美術から始まり、ルネッサンス、十五世紀イタリア美術と続く。次が北欧ルネッサンスの展示室で、中ではメムリンクの小品「老婦人像」とヴァン・デル・ウェイデンの小品「聖母子」が光っていた。十六世紀イタリア絵画の部屋では、ラファエリノ・デル・ガルボの「若い女の肖像」がとても美しく、繊細な髪の毛、引き締まった唇の可愛らしさなどはボッテイチェルリに似かよっている。
 十七世紀ドイツ、オランダ、イタリア、スペイン絵画の部屋では、フランス・ハルス「女の肖像」(一六五〇)が名品である。老婦人の手や顔の皮膚、カフスのレースが画面の中で強調されている。ムリーリョ「聖母」も優しく聡明で美しい。
 扇形の中央に出ると、そこはホールになっていて十六ー十七世紀絵画と銀食器がガラスケースに飾られている。ホールの向こう側の部屋が十八ー十九世紀絵画で、ゲインズボローの小品、ファンタン=ラトゥールの「白いばら」、マネの小品「プラム」、ロートレック「フレデリック・ウェンズの肖像」などが展示されている。コロー「地下界からエウリュディケを連れ帰るオルフェウス」(一八七一)は幻想的な美しい森が描かれた素晴らしい大作である。
 近代美術の部屋では、ルノワール「花束のある静物」は団扇が花瓶に挿してあり、当時のジャポニスムを感じさせる。モネの作品も四点並んでいるが、やはり「睡蓮」が格段に美しい。クロスの「ベニス」もきれいな作品である。ベック・コレクションの部屋が三つあり、ゴッホ「岩」、カイユボット「オレンジの木」の大作、ルノワール「読書する少女」が最初の部屋にある。三つめの部屋にこの美術館で一番感激した絵がある。マチスの「紫のコートの女」(一九三七)である。二十五号だがとにかくすてきな絵で、その生き生きとした色のハーモニーと挑戦的な女性の顔の表情がよい。久しぶりに見る私の好きなマチスの絵であった。モジリアニ「ズボロウスキーの肖像」もよかった。シャガール「女とばら」もパリに出たてのころのシャガールの希望に燃えた迫力がいい。 今までバネルで仕切られた内側だけを見て歩いたが、その外側にも絵が掛けてあるのに気づいて見て回った。レジェの一九二〇年作、ピカソー九一〇年作の作品がいい。ドランのフォヴィスムの大作「曲がり道、エスタック」(一九○六)はニメートル近い画面一杯の強烈な色彩が見る者に追ってくる、見逃すことのできない絵である。フォヴィスムの作品はこの外側の壁に掛けられているものが多く、この他にも、ブラック、マルケ、マンギャンの作品が勢ぞろいし、見応えのある壁面となっている。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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