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ウォーレス・コレクション(イギリス) 2009年7月28日更新

ウォーレス・コレクション(イギリス)

【和:ウォーレス・コレクション
【英:The Wallace COllection
研究機関|>ウォーレス・コレクション(イギリス)

 ハートフォード・ハウスは、一七八八年にロンドンのマンチェスター広場の北側に、ハートフォード侯爵の邸宅として建てられたものである。一七九七年から第二代ハートフォード侯爵がこの屋敷を住居として使った。初代のハートフォード侯爵は外交官兼政治家で、コレクションを始めたのも彼である。二代、三代とコレクションは続くが、第四代ハートフォード侯爵は特に美術品の収集に熱心であった。この侯爵は生涯独身を通したが、愛人との間に男の子があった。この息子がリチャード・ウォーレス卿(一八一八~九〇)である。彼も収集家であり、ハートフォード家の財産のほとんどを遺贈されていたが、彼は早くからイギリス国家に寄贈する意思を明らかにしていた。彼の死後、未亡人がウォーレスの名前を冠することを条件にコレクションを寄贈、一九〇〇年、ハートフォード・ハウスにウォーレス・コレクションが収まり美術館として開館した。
 こぢんまりとした三階建ての建物はロンドンの喧噪から違い。ひっそりと侯爵家のコレクションを守っている感じである。
 一階はヨーロッパと東洋の武具、甲胃、工芸品のコレクションである。入口のすぐ右側の部屋にはレイノルズ「リチャード・ハアレ夫人とその息子」があり、母性愛のにじみでている表情が美しい。
 二階は家具展示室である。かつての居城そのまま、当時の家具調度品が置かれているので、小さな城という雰囲気が漂う。
 二三室のレイノルズ「バウルス嬢」が可愛い。二二室はブーシエの部屋で女神と天使をテフマにしたものが多く、これらは愛の物語である。続く一二室は大きい部屋でロココ美術のフラゴナール、ワトー、ブーシエなどの華麗な作品が多く飾られている。フラゴナール「ぶらんこ」はコケティッシュな女性の表情が印象に残る。ワト-「公園の集い」などに当時の風俗もあわせて見ていくのも楽しい。フラゴナール「小さな学者」の一点を見つめるひたむきな表情が可愛い。
 十九室は大展示室で名作が多い。レンブラント「画家の息子ティテュス」、ムリーリョ「受胎告知」「聖家族と聖ヨハネ」、ヴァン・ダイクの肖像画、フランス・ハルス「微笑  ハネ」、ヴァン・ダイクの肖像画、フランス・ハルス「微笑する騎士」などが特に素晴らしい。ゲインズボロー「メリー・ロビンソン夫人」は気品があり美しい。イギリスの皇太子の愛人がモデルである。十七室の十七-十八世紀のフレミッシュの小品の部屋では、カスパル・ネッツェル「レース編み」やビーテル・デ・ホーホ「りんごの皮をむく女」などがいい。十五室のルーベンス「十字架のキリスト」もいい。十三室にはカナレットやグアルディが多くあり、ベニスの風景が描かれている。一ハ世紀の繁栄を誇るベニスの運河を行き交う舟が美しい。
 円形の二五室にはフラゴナールやグルーズのロマンチックな絵がある。グルーズ「キューピッドヘの訴願」は描写が美しい。どの部屋にも古い家具や置物があり、いずれも素晴らしいもので一見に値する。小さな城ではあるけれど、作品の数は豊富である。リチャード・ウォーレス卿の父第四代ハートフォード侯爵はナポレオン三世の友人でもあった。そのために、フランスの当時の美術品も収集された。この美術館には、イギリスとフランスの十八世紀を中心とする絵画や工芸品の優れた名品が多い。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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