考古用語辞典 A-Words

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アプタイベルク美術館(ドイツ) 2009年7月25日更新

アプタイベルク美術館(ドイツ)

【和:アプタイベルクびじゅつかん
【英:Stadtisches Museum Abteiberg Monchengladbach
研究機関|>アプタイベルク美術館(ドイツ)

デュッセルドルフの西方二〇キロに、メンヒェングラートバッハという町がある。ここに風変わりな建築の美術館、市立アプタイベルク美術館がある。この美術館のコレクションは主に現代美術だが、ハンス・ホライン設計の建物そのものも作品といえそうだ。石の床、白い壁、広い空間に壁の袖が出ていて、多少区切られているだけなので、目標や順序を決めて見ていくという、いつもの私の美術館めぐりの方法は無理である。
 一階、二階と地下室が展示場で、外から見ると、美術館の一部に、塔のように高いガラス張りになっているところがあるが、そこは事務室だという。 まず一階に入ると、マルチビジョンの部屋がある。階段を客席にして、赤と黒の強い色彩の部屋になっている。
ウルリッヒ・リックリームの一九七八年作の白い彫刻があり、さらに一九七〇年代から八○年代の写真を使った作品やデッサン類が置かれている。
 そこからヒヘのぼる階段と下へおりる階段があり、階上にはパオリーニの真っ白く塗られた「ミーメーシス(模倣)」(一九七六)が天井光の中で異様なたたずまいを見せている。下におりると、デッサンの部屋があり、フォンタナの作品がたくさんあった。そこから広い空間に出る。デュビュッフェの作品が二点(一九四四・一九四五)ある。
 化粧室の前の空間にはマン・レイのボートレイト写真が並んでいる。アンドレ・ブルトン、ポール・エリュアール、アンリ・マチス、マルセル・デュシャン、ル・コルビュジェ、ドラン、ピカソ、ブラック、エルンストなど巨匠たちのポートレイトが興味深い。
 広い空間は壁で仕切られていて、さまざまな作品が陳列されている。エリック・ルーシュの一九六九年作のグレーのオブジェがいい。サム・フランシスの一九五六年作のオレンジの構成はすてきである。イヴ・クラインは一九六〇年代の青や金のレリーフが数点置かれていたが、青いレリーフの海の底のような深い色が、単純であるにもかかわらず強烈である。
 隣りの部屋は線の画家モレンが六点飾られ、その奥のフオニー」もすてきである。フランツ・マルク「白い犬」やクレーもあり、エルンストの「朝の光の中の自然」(一九三六)は小品だが素晴らしかった。ブラックの一九一三年のキュビスム時代の作品、ピカソ「フェルナンド・オリヴィエ」(一九一九)、レジェ「漁師たち」(一九一二)もそれぞれに魅力的である。マチス「静物」(一九九)は青が美しいハーモニーをつくる。ルソー「サン・クロー公園の道」(一九〇八)やクロスの大作「庭の午後」も共にいい。
 コンテンポラリーにはデュビュッフェ、ベーコン、マックス・ベックマン、ジャコメッティ、タピエス、トゥオンブリー、イヴ・クライン、ソトー、ホックニー、カルダーなどが並んでおり、どれも水準の高い作品である。ドイツ出身のキーファーの作品も数多く展示されていた。
 二階へあがると、まず、ボッテイチェルリが描いた「聖母子」がある。ティエポロ、ティントレット、フラ・アンジェリコやカラバッジョの「バッカス」もある。フェルメール「地理学者」は数少ない彼の作品の中でも特に素晴らしく払はとてもひかれた。レンブラントも三点あり、「デリアの勝利」と「ハープを弾くダヴィデ」がよかった。
フランス・ハルスの肖像画もあり、ルーベンスやベラスケスもある。ムリーリョの可愛い羊飼いも印象に残る。マティアス・グリューネヴァルトの白黒の作品が二点あったが冷たいまでの描写の迫力がすごい。ファン・アイク「室内の聖母子(ルッカの聖母子)」も小品だが品のよい作品で、その他メムリンク、ヴァン・デル・ウェイデン、ホルバイン、デューラーと揃っている。フランクフルトの美術館にはあまり期待していなかったので、仕事の合間の短い時間を使ってのあわただしい鑑賞だったが、思わぬ名品たちに心ときめき、嬉しい時間となった。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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