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サン・マルコ美術館(イタリア) 2009年7月21日更新

サン・マルコ美術館(イタリア)

【和:サン・マルコびじゅつかん
【英:Basilica Domenicana di San Marco(Museo di San Marco)
研究機関|>サン・マルコ美術館(イタリア)

フィレンツェのサン・マルコ広場に面してサン・マルコ教会が建っている。その右側に教会付属の修道院があり、現在はサン・マルコ美術館になっている。十三世紀末に建てられた古い建物である。フィレンツェの大パトロン、コジモが十五世紀半ばに建築家ミケロッツォに大改修させ、フラ・アンジェリコに壁画を描かせたものである。
フラ・アンジェリコは本名をグィド・ディ・ピエトロといい、敬虔な人柄から天使僧(フラ・アンジェリコと呼ばれていた。この美術館には一階に金地の祭壇画、二階には各僧房の壁画装飾があり、たくさんのアンジェリコの傑作を見ることができる。
もと僧院だったので中央に中庭があり周囲に回廊と部屋がある。入口からすぐに右側へ回る。アンジェリコやウッチェルロなどの作品がいろいろと飾られた展示室が続いている。
さらに、回廊に沿ってよへ行くと、アンジェリコの大作「キリスト礫刑」の壁画がある。この部屋は司教に聖堂参事会員室として使われていたせいか、正面の壁一杯に描かれた壁画も相当に迫力のある作品である。また、この作品には下側にドミニコ会の聖人たちが数多く描かれている 礫刑という痛ましい場面でありながら、物語性に富み、独特の優しい色調を筆遣いで美しく昇華させている。
二階へのぼる階段わきの部屋はかつての小食堂で、ここにギルランダーイオの「最後の晩餐」の壁画が描かれている。ギルランダーイオはアンジェリコより半世紀後の人である。
二階へあがると、まずアンジェリコの代表作「受胎告知」が目にとまる。庭の木々と草花の緑と天使の衣の朱色との調和が美しい。マリアの上品な表情と青い服も、選ばれた婦人の気高さがよく表現されている。天使の羽根は五色で描かれ、華やかでありながら静かな緊張した時間の中で息づいている。階段の上の廊下にあり、見学客が往来する道筋にあるのでゆっくり立ち止まりにくい。
 二階は僧房で質素な小部屋が続く。各部屋はアンジェリコの工房により制作された壁画が描かれているが、それぞれ異なったテーマや雰囲気で楽しめる。しかし、壁画がないと小さな独房のような部屋である。
 一番奥に、サヴォナローラが起居していた「修道院長の間」がある。サヴォナローラは一四九二年ごろ、フィレンツェで華美を厳しく戒め、一種の恐怖政治を行った怪憎で、最後にはシニョーリア広場で焚刑に処せられた人物である。ドミニコ会は質素を信条としているが、サヴォナローラはフィレンツェの立て直しのために極端にその政策を人民に押し付け、結局は反感を買ってしまった僧である。
 二階の反対側の奥に図書室があり、古い写本を展示している。アンジェリコのミサ典礼書もある。一階へおりて、右の方から回廊を回って出口へ向かう。途中、アンジェリコの「礫刑のキリストと聖ドミニコ」の壁画を見ることができる。濃いブルーのバックのこの壁画も寂しさと優しさが調和する美しい作品である。僧院の庭は静かで散策によい。アンジェリコの作品に似合った清澄な雰囲気がここにはある。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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