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シャガール美術館(フランス) 2009年7月18日更新

シャガール美術館(フランス)

【和:シャガールびじゅつかん
【中:Musee National Message
研究機関|>シャガール美術館(フランス)

ニースの海岸から山側へのぼっていくと、シミエに着く。そこにシャガール美術館がある。近くにはマチス美術館もあり、立派な別荘や高級アパートが立ち並ぶ閑静な住宅街である。この美術館はオリーブの木々に囲まれた近代建築で、正面入口もガラスのドアで明るい陽光にきらめいている。ニース市が土地を提供し、シャガールが四五〇点の作品を寄贈して一九七三年に開館された。アンドレ・マルローが文化大臣として活躍したころである。
ほとんどの展示作品が宗教的テーマを扱い、シャガールは、「聖書とは詩である。世界、あるいは宇宙的な本である」という解釈から興味をもって制作したという。玄関を入ると、正面にタピスリーがあり、そのうしろ側に一番大きい、中心となる展示室がある。この部屋は天井も高く、十二枚の大きな油絵が飾られている。壁も天井も白いので、カラフルなシャガールの絵がより美しく映える。この部屋は、多少壁面が凸凹してガラスがはめ込まれており、自然光が入るようになっている。真ん中に置かれた椅子に腰掛けて、ゆっくりと絵を見ることができる。そうしていると、シャガールの夢の世界にそのまま導かれていく。私には聖書も宗教も遠い。ただ、シャガールの世界だけである。
この大ホールの右奥には、大理石のレリーフ二点と「モーゼ」「ダヴィデ」「キリスト」の三点の彫刻が置かれた小部屋があり、そのさらに奥に六角形の部屋がある。ここには油絵が五点掛けてあった。入口にシャガールが妻に贈った愛の言葉が刻まれている。 『ヴァヴァ、わが妻、わが喜びわが賛美 マルク・シャガール』この小さな部屋の絵は、すべて赤とピンクを基調にした一九五七年から五八年にかけての作品で、人間の愛をテーマとしている。大きいホールを横切り、入口へ戻ると右へも展示室が続いている。それらの部屋の奥にコンサート・ホールがある。紺色のシャガールのステンド・グラス「天地創造」が三枚はめられてあり、まるで青い海の底にいるようである。舞台にはクラブサン(ハープシコード)が置かれ、蓋の内側にシャガールが絵を描いている。客席は二百余り、年に四、五回コンサートが開かれるという。
玄関へ戻り反対側へ行くと、こちらの展示室には五十点ほどの版画が飾られ、中央のガラスケースにシャガールの版画の本が入っていた。 一九五〇年ごろの版画である。この部屋の前には小さな池があり、その向かいの壁にシャガールのモザイクが見える。真珠貝の親貝を使ったものでグディヤック(黄道十二宮)がまわりを取り囲み、真ん中にエリヤ(前九世紀ごろのイスラエルの預言者)がいる図である。
シャガールは人間の愛を最も熱心に表現した画家であると思う。彼にとって愛がすべてであり、聖書物語も神話も、人間の愛を表現する手段として作品のテーマとなっていく。
ロシアの農村ヴィテブスクに一八八七年に生まれたシャガールは、 一九二二年にベルリンからパリへ出て、再び故郷へは戻っていない。というよりも、戻ることができなかった。世界的な巨匠となった彼を旧ソビエト政府が招待したことがある。しかし、そのときは生まれ故郷まで行けなかった。常に彼の絵の中に、背景として出てくるこの村は、シャガールの忘れることのできない懐かしい思い出の村である。出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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