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ラスコー洞窟画(フランス) 2009年7月17日更新

ラスコー洞窟画(フランス)

【和:ラスコーどうくつえ
【英:Lascaux
研究機関|>ラスコー洞窟画(フランス)

 「ラスコーーの洞窟画」は、今は限られた人にだけ許可証を出して見せている。 パリからラスコーまで約五百キロ、ワインで有名なボルドーの近くである。ラスコーにはバスがたくさん停まっていて、「ラフスコーⅡ」と呼ばれる洞窟のレプリカの前に、わんさと人が押しかけていた。 一九四三年九月十二目に四人の少年が林の中のこの洞窟を見つけた。宝探しのつもりで入ったところ、たくさんの壁画を見つけびっくりした。その後、科学者が本格的な調査をし、紀元前ニ万七〇〇〇年ごろのものと判明フランスした。一九四八年から一般公開されたが保存のために一九六三年に公開を中止した。それから今日まで、申請制にして専門家を中心に一日に五名だけを週に五目間、つまり週に二十五名に限定して見せることになっている。
これでは一般の人はほとんど見られないので、一九八三年に「ラスコーⅡ」として人工的な洞窟をつくり、それを見せることにしたという。
洞窟は広く、高さは六メートルくらいあり、天井にも壁にも馬、野牛、牛、鹿がかけめぐっている姿が生き生きと描かれている。一番大きい牛は四メートルほどはあろうか、単に描かれているだけでなく、他の牛が重なって描かれていたり、その構図は複雑であり、微妙であった。うまく岩はだを利用して牛や馬を描き、どの動物にも動きがあり表情がある。素晴らしいの一言である。色は茶と赤、黒が使われているが、迫力があり、遠近法もすでに使われ、絵画としても高度な描写がなされているのに驚かされる。  洞窟は右の方と前方とに二つに分かれていて、長く延びている。洞窟とはいえ、天井は高く、内部は広々としている。専門家の研究によれば、この洞窟は古代人の居住用ではなく、いわば祭祀用のもので、狩猟における豊かな獲物を祈る儀式をここで行ったらしい。図柄も狩猟に関するものばかりで、矢のささった馬や牛、ワナに足をかける馬という風にテーマが絞られている。
 右側の入口のあたりは絵が剥がれ落ちているところが多く、彫った馬や牛だけが残っている。ここは風の通り道で風化しながら絵が剥落したのだそうである。奥には鹿が何頭も顔だけ描かれているが、川か湖を泳いで渡っているように描かれ、左側には仔をはらんだ馬もいる。
その母馬の優しい表情が印象に残った。絵の上にまた絵や彫刻が幾重にも重複して描かれたり彫られたりしている。元のホールに戻って、今度は前方の洞窟に行く。両側が狭くなって下り坂になる。懐中電灯に照らされながら一番奥へ行くと、番人がここでUターンして立っていて下さいと言う。そのまま数秒待っただろうか。ぱっと淡い明かりがついた。まわりがすべて壁画である。幅が狭いだけに馬も牛も一斉に追ってくる。馬、牛、鹿の集団である。絵や彫刻の中には数メートルもある大きなものから五十センチくらいの小さなものまであるが、大きなものは大胆なタッチで描かれ、小さなものはきわめて繊細に描かれている。
 説明によれば、手法は三通りで、今でいうクレヨンみたいな感じに大胆に描いたもの、叩いて色をしみこませたもの、目で吹いて淡い色にぼかしたものだという。
 使われた顔料はすべて洞窟内でとれた土で、黒、茶、赤であった。明かりに使われたらしい台なども一緒に発見され時代考証に役立ったらしい。  この洞窟の天井の上に水路があって、初めに入ってきたところにしたたり落ちている。おそらく、この自然の水路のおかげて気の遠くなるような年月を保てたのであろう。発見されてからは湿度や温度調整の機械も入れられ科学的に管理されている。
出所:『美術館へ行こう』長谷川智恵子
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