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如来立像(龍門石窟) 2009年2月2日更新

如来立像(龍門石窟)
【和:にょらいりゅぅぞう
【中:Ru lai li xiang
隋・唐・五代|彫刻・書画|>如来立像(龍門石窟)

河南省洛陽市龍門石窟東山高平郡王洞伝来
石灰岩
総高一九五・〇、像高一八〇・〇、幅五〇・〇、奥行五〇・〇
唐 ハ~九世紀
河南・洛陽古代芸術館
 龍門石窟東山の高平郡王洞に安置されていたといわれる如来立像で、頭頂から台座下の柄まで石灰岩の一材から彫り出される。
 右手の肘を曲げて前方へあげ(手先は欠失)、左手で衣端をつかんで軽く前へ差し出し、蓮華座の上に立つ。衣は、偏袒右肩に天衣をまとった上に、右肩から偏衫の類かと思われる衣をつけ、左肩前にその紐の結び目を下げる。胸前にみえる のは、下着(僧祇支)を留める紐の結び目である。腰から膝にかけて衣文がU字形に続くのに対し、脛から下は垂直方向へ直線的に伸びるが、足の甲などで折れ返る衣端とともに、その表現には現実昧が薄い。
 頭部は、肉髻の段差があまりなく、頬から顎下にかけて豊かに肉付けされているため、下膨れの顔形にみえる。優美な曲線を描く眉の間には円孔が開き、もとはここに水晶などを象眼して、白毫(仏の眉間に生えた白い毛)を表現していたようである。大きく見開かれた目とは対照的に、鼻や□は小ぶりでずんぐりとし、独特の表情が形成されている。
 正面観でおよそ楕円形をした顔形や、起伏が少なくずんどうに近い肢体、さらに形式化した衣文などの表現は、唐時代(六一ハ~九〇七年)盛期の写実的な作風とは一線を画し、唐も後半期の制作になることを示していよう。
 龍門石窟の中では、丸彫りの像はさほど多くなく、そのほとんどが唐時代に集中している。本像もそのIつとして稀少視されるが、七〇〇年前後の造営になる高平郡王洞の諸像とは作風が異なり、また、龍門石窟の造像活動も、ハ世紀後半以降、急速に衰退していくことからすると、元来、石窟周辺にあった別の寺院に安置されていた可能性もあろう。出所:唐の女帝・則天武后とその時代展1998
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