考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第一五六窟南壁・東壁  2008年09月20日(土)更新

莫高窟第一五六窟南壁・東壁
【和:ばっこうくつだい一五六くつみなみへき・とうへき
【中:Mo gao ku di 156 ku nan bi dong bi
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第一五六窟南壁・東壁

帰義軍節度使張議潮出行図
(模写関友恵、馮仲年ら)
紙本着色
縦107.8 横857.6
晩唐
  一五六窟は、後に第二代節度使となった張議潮の甥、張准深が、敦煌から吐蕃族を駆逐し、唐朝より初代帰義軍節度使に任ぜられた張議潮の功績を称えて咸通五年(八六四)前後に造営したもので、窟内南・北壁から東壁にわたる腰壁に張議潮とその妻、宋国夫人のそれぞれの出行図が相対して描かれている。これらは窟内下部壁面に列をなして表される従来の供養者像から大きく踏み出し、各主人公を中心として、繰り広げられる出行行列の有様を長大な画面空間の中に背景も含めて雄大、かつ緊密な構成のもとに実況的に活写したものである。現存する人物の最も晴れやかな局面にスポットライトを当ててリアルに描き、その地上の王権を称賛した本図によって、経変をいくつも連ねた上部壁面の仏教の聖画と対照的に、世俗的な主題が輝かしい地位を得たといってよい。張議潮時代の敦煌の繁栄を創造的に描き出した晩唐期の代表作である。
画面は南壁西端から始まって、前後八・五メートル余、百人以上に及ぶ行列を一定の視点を保ちながら俯瞰的に描き出す。まず、大路の両端を左右対称的に縦列をなして騎馬隊が進む。先頭の鼓笛隊、続いて甲曽に身を固めた武官を始め文武両官、隊旗が翻り、隊列がしばし歩をゆるめる中を、楽隊の伴奏に合わせ舞人達が踊り出て、早くも戦勝パレードの気分が高まる。そこに節度使の身分を示す雄旗を奉持する二騎が馳せ参じ、徒歩の二列の儀伎兵が続く。そして画面中央、ひときわ大きく描かれるのが、白馬に騎乗する張議潮で、その傍らには、″河西節度使倹校司空兼/御史大夫張議潮統軍□/除吐蕃収復河西一道行図″の題記がある。彼がまさに踏み渡ろうとしている橋の下の河は、画面上部に重畳と連なる遠山の峡から流れ出たもの。画面に添えられたこのような河西地帯の風土表現も、この一帯を鎮武し、その勲功を讃歌する″張議潮変文″が敦煌文書に遺るほどの英雄の表現にふさわしく、本図中見逃せないモチーフである。
張議潮の後衛は子弟軍と題された、張議潮に近侍する一族郎党で、その後ろは直角におれて、東壁南側に続き、最後尾の輜重隊が描かれる。この荷を乗せたラクダや馬の一団は、あるいは敦煌軍がウイグル討伐のためはるか伊州まで軍を進め、戦勝して大量のラクダや馬を捕獲して凱旋したという″張議潮変文″に即したイメージとも取れよう。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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