考古用語辞典 A-Words

時代別順

旧石器時代
新石器時代
神話時代
殷・周時代
春秋戦国
秦・漢・三国
晋・南北朝
隋・唐・五代
宋・遼・金・元
明・清

分野別順

基本用語
青銅器
陶磁器
金銀・玉器
石器・ガラス
彫刻・書画
絹・衣類
建造物・遺跡・墓
歴史名城
歴史人物
研究機関
研究者
面白テーマ

莫高窟第四二八窟東壁南側  2008年09月16日(火)更新

莫高窟第四二八窟東壁南側
【和:ばっこうくつだい四二八くつひがしへきみなみがわ
【中:Mo gao ku di 428 ku dong bi nan ce
晋・南北朝|彫刻・書画>莫高窟第四二八窟東壁南側

摩訶薩埵太子本生図(模写 范文藻)
紙本着色
上 縦六六・五 横四三五・五
中 縦六五・八 横四三五・五
ド 縦六六・〇 杖四三六・四
北周
  第四二八窟は北周時代の代表窟で、大規模な中心方柱式窟の南・西・北側壁の中心帯にほぼ方形の画面を横に連続させ、そこに仏誕・降魔成道・涅槃などの仏伝図、仏説法図の諸場面を描き出している。
これらの画面がいずれもその説語を中心的な情景に限定して描き出しているのに対し、東壁窟門両側の壁面南側の「摩訶薩埵本生図」北側の「スダーナ大子本生図」は、壁面中心帯をさらに上中下三段に分かち、その細長いフリーズ状画面に説話の全容を細分化して逐次配列したもので、画面は上段んから左、中段左から右、そして下段右へとS字形に進行する。敦煌初期壁画に多い、いわゆる連還画の一つの典型的な形式と見ることができよう。
本図は、南側の「摩訶薩埵本生図」で、第二五四窟の同主題画と同じく「摩訶薩埵太子本生」説・話を主題とする。
ここでは、樹木や山岳を区切りとし、時間の流れに従って、おおよそ以下の十二景に分け表している。以下に「金光明経巻第四捨身品第十七』の記述に沿いなから各場面を概述すると、
(一)はるか過去に摩訶薩埵という王がいて、二人の王子がいた。彼らは宮殿内の王と王妃に出遊の挨拶をする。
(二)三王子は胸をそろえて園林に向かう。
(三)三王子は関林にて遊猟をする。
(四)三王子は林中にて小憩、心中を語り合う。 
(五)三王子はさらに進む。
(六)崖下に飢えた母虎と七匹の小虎とを見る。虎たちは死に瀕している。三王子はこれを見て如何にすべきか思い悩む。第三王子サッタ太子は今こそ身の執着を捨て、それから離れることによってわが身が無上法身であることを証明し、もろもろの衆生に無量の法楽を与えようと思う。
(七)サッタ太子は何もいわずに二兄を去らしめる。
(八)サッタ太子は虎の所に戻って、脱衣し、虎の前に臥すが、虎は喰う気力も無い。
(九)そこでサッタ太子はさらに乾竹を頭に刺し血を流して再び投身し、自らの肉を虎に食わせる。(十)戻ってきた兄二王子は弟の骸骨を見て驚愕号泣する。
(十一)ニ王子、馬を躯ってサッタ太子の死を王城に伝える。
(十二)国王にことを告げる。
最後は、(十)戻り、太子の舎利を納める七宝塔を起こし供養するところを異時同図法で表す。(なお画面はさらに数場面続くが、本説話とは関係がない。)
各場面は、軽重をつけずに羅列的に描き出され、徹底した説明的描写であるが、簡略素朴な人物・動物の躍動的表現や各景を区画する山岳文様の緩急自在な起伏が、画面にリズミカルな発刺とした印象を与え、併せて装飾的効果をあげている。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

Copyright 2006 abc0120 All rights reserved.