考古用語辞典 A-Words

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方鑑缶     2008年07月19日(土)更新

方鑑缶
【和:ほんかんふ
【中:Fang jian fou
春秋戦国|青銅器>方鑑缶

青銅製
附属勺
総重量170kg
方尊缶 通高52.4cm、 口径23.6cm、底径22cm
方鑑通高63.2cm、 口の大きさ62.8×62cm
勺 通長84.5cm、柄の径1.5cm、重1.4kg
 酒を冷やしたり暖めたりしておく容器。方形の大きな容器(方鑑)に蓋付きの方形の壼(方尊缶)を入れ、透彫の蓋を被せたものである。
方尊缶は、身の横断面が正方形で、胴部の各面に耳が縦に一つずつつく。口縁直下に羽状紋がめぐり、肩部には凹線による勾連紋帯がめぐる。胴部には、人面の組み込まれた羽状紋がめぐり、その同様の地紋にみたされた蕉葉紋が下がる。胴下部は無紋であり、最下部に羽状紋が施されている。底部は上げ底状となっており、高台状になった側面下端の一つの側には長方形の孔が二つ、その反対側に一つ穿たれている。この孔に方鑑の内底に付けられた二つの鉤を差し込んで、方尊缶を方鑑に固定する。方尊缶の広部には鉤を孔に導くための隆起線が二本ある。
方尊缶の蓋も方形で、四隅に環鈕がつく。蓋の内側に「曽侯乙作持用終」と銘文が刻まれている。
方鑑も身の横断面は正方形。身の四面と四隅に、龍の形の耳が8個あり、獣の形をした脚が四つ付く。8個の耳は本体とは別に鋳造したもので、本体に鑞付けされている。龍の尾には別の小さい龍が巻きついており、小龍の尾の端に5弁の花が咲いている。8頭の龍の頭の上に、曲尺形もしくは方形の飾りが覆いかぶさる。 これらは本体とは別に鋳造されたもので、柄によって方鑑の口縁上に固定されたものである。この飾りの上面の紋様は細かいながらも起伏にとみ、鋳造技術の高さを誇示しているかのようである。上面の隅には、鉤のような突出がある。飾り紐を掛けたものであろうか。
方鑑側面の紋様は、勾連紋を除き、方尊缶とほぼ対応する構成になっている。 方鑑の底部は二重になっている。身の内底は円形に窪んでおり、ここに鉤が三つついた円板が固定されている。鉤は長さ5cm、幅1.5cm、高さ3.6cmであり、この爪に方尊缶の高台の三つの孔を差し込んで方尊缶を固定する。
方鑑の蓋は透彫の方形で、中央に方形の孔が空いて、方尊の頸部を入れるようになっている。蓋の四辺には環が付けられ、扱いに便利なようになっている。蓋の上面にも「曽侯乙作持用終」の銘文が刻まれている。
勺の身は注ぎ口のついた器のようになっている。勺の腹の内壁には、「曽侯乙作持用終」の2行7字の同じ銘文がある。勺の身から龍の上半身が伸び出し、柄をくわえるようになっている。勺の身と柄は別鋳で、鋳かけで継いでいる。柄は長い丸棒形で、先端には獣首形の環鈕があり、二つの円環をくわえる。
方尊缶と方鑑が内外二重になっていること、方尊缶を方鑑に固定するようになっていることからみて、これは方尊缶と方鑑の間に氷もしくは湯を入れることによって、方尊缶に蓄えた酒などを冷やしておいたり、温めておいたりするのに用いたものであろう。細工の細かさから見て、重要な祭祀や宴会に用いられたものであろう。出所:『曾侯乙墓』 特別展 日中国交正常化20周年記念

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