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刺繍妙法蓮華経 2007年12月15日(土)更新

刺繍妙法蓮華経

【和:ししゅうみょうほうれんげきょう
【中:Ci xiu miao fa lian hua jing
宋・遼・金・元|彫刻・書画>刺繍妙法蓮華経

李徳廉作
縦44.1 横1953.3
元・十四世紀
龐秉禮氏寄贈
上海博物館
 『妙法蓮華経』の一字一字を丹念に縫いだした刺刺繍による経巻。散在する「佛」の文字は金糸の駒留で、他の文字は深い縹色の絹糸による繻子繍で艶やかにあらわしている。巻頭には多色の彩糸による霊鷲山説法会の諸仏、そのあとに仁宗皇帝の七言律詩「御賛連経」一首と、妙法蓮華経弘伝の序文が続く。経文の終わりには漏澤寺の小比丘道安が書き写し、「蘭桂坊の女善人李徳廉が刺繍した旨が縫いだされている。巻尾には南堂比丘清欲の墨蹟の題跋がある。刺繍による文字数は、この巻全巻で計9122文字とされる。
中国における刺繍の歴史は古く、今日知られるだけでも戦国時代から多くの作例を残してきている。しかし宋代に入ると刺繍工芸にも従来にない新しい試みが見られるようになった。即ち一部の刺繍は実用性から離れ、鑑賞品としての道を歩みはじめたのである。北宋の崇寧年間(1101~06)には宮廷工房に繍画専科が設けられ、山水・楼閣・人物・花鳥などの各部門で、その表現には宋画に共通する気韻生動が求められたといわれる。そうした宋繍の伝統は元繍にも受け継がれ、このような「書」の領域にまで踏みこんだ作品が生れたものと思われる。 もちろん刺繍による経巻は繍仏(刺繍による仏像)と同じく、「一糸を以て造仏に参加する」という厚い信仰に根ざして制作されるものであり、その強い精神性なくしては、たとえ多くの人の手が加わったにせよ、一針一針途方もない時間をかけたこのような経巻は完成され得ないであろう。出所:「上海博物館展」

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